文章を読むということは、家が建っていくのを眺めることに似ています。何もないところから地面が整地されます。土台が整備されます。柱が立っていきます。木組みによって家の骨組みが出来ます。壁が張られていきます。その後は内装があって、やがて完成します。
文章を読む場合、何もないところから「文字列」を「意味ある内容」に変換しながら(=変えながら)読み進めます。最初の頃は、全体像は見えません。暗闇を手探りで進んでいく雰囲気です。読み進めていくうちに、だんだん部分から輪郭が見え始めます。そして、やがて全体構造が立体的に見えてきます。
文章の内容が分かるということは、一列に並んだ文字を「意味ある内容に変換する」だけでは不十分です。ぺったんこの文章が立体的に見えて、始めて「分かった(理解出来た)」と言えます。文章の組み立て(構造)がつかめないと、本当に理解出来たとは言えません。
文章を立体的に読み進める、立体的に理解する訓練が、「文章を図式にする」という要約学習で行っている勉強です。 ……図式を見れば、その人が文章をどのように理解しているかが一目瞭然(=ひと目見ただけで、はっきり分かる)です。
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一方、人前でスピーチやプレゼンをする場合、話す内容が立体的になっていないと上手く話せません。相手に理解しやすい話し方が出来ません。無駄なく、コンパクトに話すことが出来ません。
したがって、話す前に必要なことは、前もって「作文」を書くことではありません。話す内容を立体的・構造的に「図式」に書くことです。図式が手元にあれば、聞く人の方を見ながら「語りかける」ように話すことが出来ます。語りかけるように話すと、聞く人も理解がしやすくなります。
ということで、これからの学校生活をとおして、図式を書きながら人の話を聞いたり、図式を書きながら文章を読んだり、図式を基にスピーチをしたり、……というぐあいに、大いに図式を活用していきましょう!